Saturday, August 15, 2015

【ギフトの冒険家ブログ:土居彩④】代金の無い料理店『カルマ キッチン』創設者・ニップンさんのギフトな生き方

カリフォルニア州・バークレー。ここはカリフォルニア大学バークレー校がある活気溢れた学生街です。その中心、ダウンタウン バークレー駅から徒歩10分ほどの場所に『カルマ キッチン』というインド料理店があります。ここは、本場仕込みの美味しいベジタリアンインド料理が食べられるだけではなく、とても不思議な体験ができるレストラン。いったい何ができるというのでしょう? 
それはお会計時に判明します。「ごちそうさま」と伝票を見れば、「あなたのお会計は0ドルです」と書かれています。「タダってこと!?」。いいえ、ちょっと微妙にニュアンスが違います。伝票をよく読めば、前に来たお客さんが食事代を先払いしてくれたこと。そして今度はあなたが次のお客さんへギフトの輪をつなげるチャンスだと書かれています。けれど決してそれを強制するのではなく、あくまでもそのスタンスは“インビテーション(お誘い)”。つまりお支払いの請求はもちろん、いくら払ってくださいというプレッシャーもありません。笑顔を絶やさず働くスタッフ達もまたボランティアスタッフだといいます。
オークランドにあるギャングの巣窟で家を開放しているパンチョとサム。そしてサンフランシスコのど真ん中で、50年以上無料で食事を配り続けるツリーさん。彼らのようにここベイエリアでは、私有や営利を原理とする資本主義経済ではなく、支え合いや与え合いをベースとしたギフト経済で生きる人達がいることを知りました。けれども『カルマ キッチン』は飲食店、お店です。非営利団体だとしても賃料や材料費など店舗運営経費、資本が必要です。そこでギフトの輪を繋げなかった場合のリスクを常に店側が抱えなければなりません。そんな『カルマ キッチン』ですが、なんとスタートして8年以上も経つといいます。3年もてば良いとされる飲食業界で8年は大快挙。一体、創設者であるニップン・メッタさんとはどういう人なのでしょう? そして、どういう経緯でギフトなレストランを始めたのでしょう? お話を聞いてみると…。

創設者インタビュー!


ニップン・メッタさん。1975年12月31日生まれ。UCバークレーでコンピューターサイエンスと哲学を専攻。大学三年生のときに働いたIT業界で必要以上のお金を得て、全てギフトすることを決断。現在もギフトな生き方を歩み続ける。
ニップン・メッタさん。1975年12月31日生まれ。UCバークレーでコンピューターサイエンスと哲学を専攻。大学三年生のときに働いたIT業界で必要以上のお金を得て、全てギフトすることを決断。現在もギフトな生き方を歩み続ける。

「今私たちが生きているのは、個人社会ですよね。“私はどうするのか”“私はどうやって生活していくのか”“私はどう自分の恐れと向き合っていけばよいのか”。私、私、私…と、いつも自分中心で考えねばなりません。でも母親の胎内にいるときに、“5年プランを私はどうやるか”なんて考えませんでしたよね。私たちが相互に関係しあい、そして協力しあう世界。つまり全体意識のようなものと私たちが切り離されたとき視点が個へと傾き、こういった考えに陥るのです」とニップンさん。そこでレストランという形態をとり、利用者の意識をつなぐ実験をしているのが『カルマ キッチン』です。

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